倫理的投資×NISA その始め方とメリットを解説
倫理的投資への関心は高まっていますが、「具体的にどう始めれば良いのだろう」「税金はどうなるのだろう」といった疑問を持つ方もいらっしゃるかもしれません。特に、投資初心者の方にとって身近な制度であるNISA(少額投資非課税制度)と倫理的投資をどのように組み合わせられるのか、気になる点ではないでしょうか。
本記事では、倫理的投資をNISAの枠組みで始める方法と、そのメリットについて解説します。投資を通じて社会に貢献しながら、賢く資産形成を目指したいと考える方にとって、NISAは有力な選択肢の一つとなります。
倫理的投資とNISAを組み合わせるメリット
NISAは、一定の投資枠内で得た運用益が非課税になる制度です。このNISA制度を活用して倫理的投資を行うことには、いくつかのメリットがあります。
- 運用益が非課税になる: 倫理的投資によって得られた分配金や売却益にかかる税金が非課税になります。これにより、手元に残る利益を増やすことができます。
- 少額から始めやすい: NISA制度は年間投資枠が定められており、少額から積立投資を行うことも可能です。これは、投資初心者の方が無理なく倫理的投資を始める上で大きな利点となります。
- 社会貢献と資産形成を両立: NISAの非課税メリットを享受しながら、環境や社会、企業統治に配慮した企業やプロジェクトに投資できます。自身の資産を増やしながら、社会の課題解決に貢献できるという倫理的投資の意義をより効果的に実感できるでしょう。
このように、NISAと倫理的投資は、資産形成の効率を高めつつ、倫理的な価値観に基づいた投資を実現するための良い組み合わせとなります。
NISAで倫理的投資を始めるステップ
NISAを活用して倫理的投資を始めるには、いくつかのステップがあります。ここでは、特に「つみたてNISA」を想定して一般的な流れを説明します。つみたてNISAは、長期・積立・分散投資に適しており、多くの倫理的投資ファンドが対象となっています。
ステップ1:金融機関(証券会社など)を選びNISA口座を開設する
まず、NISA口座を開設する必要があります。NISA口座は一人につき一つの金融機関でしか開設できません。金融機関を選ぶ際は、以下の点を考慮すると良いでしょう。
- NISA対象の倫理的投資ファンドが豊富か: どのような倫理的投資ファンドがNISAの対象商品としてラインナップされているかを確認します。自身の関心や投資方針に合ったファンドがあるかどうかが重要なポイントです。
- 手数料: 購入時手数料や信託報酬などのコストも比較検討します。
- サービスの使いやすさ: オンラインでの取引のしやすさ、情報提供の充実度なども考慮に入れると良いでしょう。
金融機関が決まったら、ウェブサイトなどからNISA口座開設を申し込みます。手続きにはマイナンバーカードなどが必要になります。
ステップ2:NISA対象の倫理的投資ファンドを探す
NISA口座が開設できたら、実際に投資するファンドを選びます。選んだ金融機関のウェブサイトなどで、NISA(つみたてNISAまたは一般NISA)の対象となっている投資信託の中から、倫理的投資の基準を満たすファンドを探します。
多くの金融機関では、「ESG投資」「社会的責任投資(SRI)」「SDGs関連」といったキーワードでファンドを絞り込めるようになっています。各ファンドの目論見書や運用報告書を確認し、どのような基準で投資対象を選んでいるのか、過去の運用実績はどうなっているのかなどを調べます。
ステップ3:投資方法(積立・スポット)と金額を決める
投資するファンドを決めたら、具体的な投資方法を設定します。
- つみたてNISAの場合: 毎月一定額を自動的に買い付けていく積立投資が基本です。無理のない範囲で、毎月の積立金額を設定します。年間40万円の非課税枠内で収まるように金額を調整しましょう。
- 一般NISAの場合: 積立投資も可能ですが、好きなタイミングで好きな金額を投資するスポット購入も可能です。年間120万円の非課税枠内で、投資したいファンドと金額を決めます。
積立設定を行うことで、価格変動のリスクを抑えながら、計画的に倫理的投資を進めることができます。
ステップ4:購入手続きを行う
設定した投資方法と金額に基づき、ファンドの購入手続きを行います。積立設定であれば、毎月指定した日に自動的に買付けが行われます。スポット購入の場合は、取引画面から手動で注文を行います。
これで、NISA枠を活用した倫理的投資がスタートします。
倫理的投資をNISAで行う際の注意点
NISAを活用することで税制メリットが得られますが、投資である以上、元本割れのリスクがあることを理解しておく必要があります。
- 投資対象の価値の変動: 投資信託の価格は、組入れられている株式や債券などの市場価格によって変動します。経済情勢や個別企業の状況によっては、投資した金額を下回る可能性があります。
- 為替変動リスク: 外国の資産に投資するファンドの場合、為替レートの変動によって基準価額が影響を受けます。
- 倫理的基準の解釈: 「倫理的」という基準はファンドによって異なります。自身の価値観とファンドの投資方針が合致しているか、しっかりと確認することが重要です。
これらのリスクを理解した上で、ご自身の資産状況や投資経験、リスク許容度に合わせて無理のない範囲で投資を行うことが大切です。
まとめ:賢く、社会的に、そして非課税で
倫理的投資をNISAで行うことは、非課税メリットを享受しながら、ご自身の倫理観に沿った資産形成を進めるための有効な手段です。金融機関選びからファンド選定、積立設定まで、いくつかのステップがありますが、一つずつ進めていけば難しいことはありません。
投資初心者の方でも、NISAの仕組みを活用することで、より始めやすく、続けやすい形で倫理的投資に取り組めます。社会貢献と自身の資産形成を両立させる一歩として、NISAでの倫理的投資を検討してみてはいかがでしょうか。
※本記事は特定の金融商品への投資を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任において行ってください。