少額から始める倫理的投資 初心者が知っておきたい最初のステップ
倫理的投資に興味をお持ちでも、「大きな資金が必要なのでは」「どうやって始めれば良いか分からない」といった不安から、なかなか一歩を踏み出せずにいる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、倫理的投資は必ずしも多額の資金がなければ始められないものではありません。少額からでも無理なくスタートし、社会貢献と資産形成の両立を目指すことは十分に可能です。
このページでは、倫理的投資を少額から始めるための具体的な方法や、初心者の方が知っておきたいポイントについてご紹介します。
倫理的投資とは何か?(おさらい)
まず、倫理的投資とは何かを簡単におさらいします。倫理的投資(サステナブル投資やESG投資とも関連が深いです)は、単に経済的なリターンを追求するだけでなく、環境問題、社会問題、企業の倫理的な経営といった要素(ESG要素)を考慮して投資先を選ぶ手法です。
これにより、投資を通じて企業の持続可能な成長を促し、より良い社会の実現に貢献することを目指します。社会に良い影響を与えながら、同時に長期的な視点で安定したリターンを期待できる可能性がある点が魅力です。
なぜ少額から始めるのがおすすめなのか
特に投資経験が少ない方にとって、少額から倫理的投資を始めることにはいくつかのメリットがあります。
- リスクを抑えて始められる: 投資には元本割れのリスクが伴います。少額であれば、万が一損失が出た場合でも、家計全体への影響を小さく抑えることができます。
- 投資の仕組みや流れを実践的に学べる: 実際に投資を経験することで、市場の動きやファンドの運用状況などを肌で感じることができます。これは、座学だけでは得られない貴重な経験になります。
- 心理的なハードルが低い: 多額の資金を一度に投じるのは勇気がいるものですが、少額であれば心理的な負担が少なく、気軽に第一歩を踏み出しやすくなります。
- 継続しやすい: 無理のない金額で定期的に投資を行う仕組みを作れば、感情に左右されずに投資を継続しやすくなります。
少額で始める倫理的投資の具体的な選択肢
少額から倫理的投資を行うための主な方法としては、投資信託やその積立投資が挙げられます。
投資信託
投資信託は、多くの投資家から集めた資金を一つにまとめ、運用の専門家が株式や債券などに投資・運用する金融商品です。運用成果は投資額に応じて各投資家に分配されます。
- 少額から投資可能: 多くの投資信託では、1万円程度から購入できます。ネット証券では、さらに少額の100円や500円から積立投資ができる場合もあります。
- 分散投資効果: 投資信託は様々な資産や銘柄に分散して投資を行うため、一つの企業や資産に集中投資するよりもリスクを分散できる傾向があります。
- 倫理的投資信ンド: 倫理的な基準やESG要素を考慮して運用されることを目的に設計された投資信託があります。これらを選ぶことで、自分の価値観に合った投資を行うことができます。
つみたてNISAの活用
つみたてNISAは、特に少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度です。年間40万円までの投資から得られる運用益が最長20年間非課税になります。
- 税制優遇: 運用益にかかる税金がかからないため、効率的な資産形成が期待できます。
- 積立投資が前提: 定期的に一定額を積み立てる仕組みなので、感情に左右されず計画的に投資を進められます。
- 対象ファンド: 金融庁が長期・積立・分散投資に適していると判断した投資信託等が対象です。倫理的投資に関連するテーマ型やESG要素を考慮したファンドの中にも、つみたてNISAの対象となっているものがあります。
つみたてNISAを活用することで、税制上のメリットを享受しながら、少額から倫理的な投資信託へ積立投資を行うことが可能です。
少額で始める際のファンド選びのポイント
少額で始める場合でも、倫理的投資信託を選ぶ際にはいくつか確認しておきたい点があります。
- 倫理的な基準や投資対象: そのファンドがどのような倫理的な基準(例:特定の業種を投資対象から外す、ポジティブな影響を与える企業を選ぶなど)に基づいて投資先を選定しているのか、どのような企業や事業に投資しているのかを確認しましょう。運用報告書や目論見書などで詳細を確認できます。
- 運用方針と実績: ファンドの運用方針が、ご自身の投資目的や価値観と合っているかを確認します。また、過去の運用実績も参考になりますが、将来の運用成果を保証するものではない点には注意が必要です。
- 手数料(信託報酬など): 投資信託を保有している間にかかる信託報酬などの手数料は、運用成果に影響を与えます。無理のない範囲で、手数料も考慮して比較検討することが大切です。
- 情報の開示度: 投資先企業の選定基準や、投資している企業のESGに関する情報などをどの程度開示しているかも、信頼できるファンドを選ぶ上で参考になります。
倫理的投資を少額から始める具体的なステップ
- 情報収集: 倫理的投資や関心のあるテーマ(再生可能エネルギー、社会課題解決など)について情報を集めます。
- 証券会社の口座開設: 投資信託の取り扱いがあり、少額投資や積立設定が可能な証券会社を選んで口座を開設します。ネット証券は手軽に始められる場合が多いです。
- 投資するファンドを選ぶ: 倫理的な基準や運用方針を確認し、ご自身の考えに合った投資信託を選びます。つみたてNISAを活用する場合は、対象ファンドの中から選びます。
- 積立設定を行う: 毎月無理のない金額(例:月5,000円、1万円など)を設定し、自動的に買い付けが行われるように設定します。これが少額投資を継続する上で非常に有効です。
- 定期的なチェック: 設定後は基本的に自動で運用されますが、定期的に運用報告書を確認したり、社会情勢の変化に関心を持つことも大切です。
少額投資でも忘れてはいけないこと
少額だからといって、投資に伴うリスクがないわけではありません。投資信託も市場の変動により基準価額が下落し、元本割れする可能性はあります。特に短期的な価格変動に一喜一憂せず、長期的な視点で投資を続けることが、倫理的投資でも資産形成においても重要です。
また、倫理的投資は社会貢献と経済的リターンの両立を目指すものですが、必ずしも高いリターンが保証されるわけではありません。ご自身の許容できるリスクの範囲内で、無理のない投資計画を立てることが大切です。
まとめ
倫理的投資は、特別な富裕層だけのものではありません。少額からでも十分に始めることが可能です。投資信託の活用やつみたてNISAを利用することで、月々数千円といった金額から、ご自身の価値観を反映した投資をスタートできます。
まずは一歩踏み出し、倫理的投資を通じて社会とご自身の未来にポジティブな影響を与える経験をしてみてはいかがでしょうか。焦らず、ご自身のペースで始めてみることが大切です。